製品情報

Product

各樹脂とその特性について

ここでは、各樹脂の特性とその用途についてご紹介します。製品により、適した樹脂が異なりますので、用途にあわせてご検討下さい。なお、これらの特性は各製品に使用する樹脂の特徴を示す一般的なデータですので、詳しくは担当営業員にお問い合わせ下さい。

フッ素樹脂およびエンジニアリング・プラスチック

PFAはフッ化度の高い半透明の非粘着性樹脂で、摩擦係数が小さく、ある程度のたわみ性を有しています。PFAはストレスクラックに対して優れた特性を示し、純度が高く発ガスによるトラブルがありません。ほとんどすべての薬品、溶剤に耐性を有しています。

PEEKはクリーム色のポリマーで、着色上の選択に限りがあります。高温下での曲げ、引っ張り強さに非常に優れています。丈夫で磨耗特性が良好です。クリープにも強く、有機 ・無機を問わず広範囲にわたる非常に優れた耐薬品性を有します。ただし唯一、硫酸に侵されます。

PEIは非晶性樹脂であり、高い強度と剛性、耐加水分解性、耐候性を備えています。耐熱性も優れているため、高温域で機械的特性を必要とする用途で使用されています。また、弱酸や弱アルカリなどを含め、幅広い耐薬品性を 有しています。

PCは硬質、透明ポリマーで、耐衝撃性が大きいのが特徴です。有色透明のPCを利用して紫外線透過コントロールができます。PCは寸法安定性にも優れ、また室温で弱酸、塩基、オイル、アルコールに耐性を有します。ただし高温の有機溶剤、濃酸および塩基に侵されます。

PESは琥珀色を帯びた非晶性樹脂であり、機械的・化学的性質に優れています。高水準の耐熱性や耐熱水性、耐薬品性を有しており、透明性も高いことから、ポリカーボネートの用途分野で高い性能が要求される場合にも使用されています。また、低アウトガス、低溶出といったクリーンな材料として、半導体用途でも適用されています。

一般汎用樹脂

PP は、高い曲げ特性を持つ半透明もしくは透明な樹脂です。耐衝撃性が良く、強無機酸、塩基、アルコール類、およびいくつかの溶剤に優れた耐薬品性を示します。
一方、加熱された塩化溶剤、芳香性溶剤、濃塩酸、過酸化水素に対しては耐薬品性が劣ります。

PS は寸法安定性に非常に優れた透明、硬質のもろいポリマーです。ストレスクラックに弱く、耐衝撃性を高める場合はブタジェンを混ぜて柔軟性を加えます。
水、弱酸、塩基および洗剤に対して強い耐性がありますが、ほとんどの溶剤と有機物には弱い性質です。

ABS は硬質の丈夫なポリマーで、衝撃に強く、透明、着色いずれも可能です。
ほとんどの酸、塩基、塩水そしてアルコールには強い特性を持ちますが、有機溶剤には弱い性質があります。

PE には、LDPE (低密度ポリエチレン)と HDPE (高密度ポリエチレン) 樹脂があります。
LLDPE ( リニア低密度ポリエチレン) は一般的な LDPEより分子構造が鎖的であり、LDPE より硬い樹脂になります。HDPE は分子構造上、少数のポリー側鎖から構成されているため、LLDPE よりも硬く、薬品の浸透に対する抵抗力が大きいものです。ポリプロピレンと同様の耐薬品性がありますが、強酸化剤に対して劣化します。また溶剤によっては PE 樹脂を軟化・膨張させるものもあります。

静電気対策素材

耐熱性、剛性に優れており、高温下における使用に耐えることができます。寸法安定性に優れた特性を示し、特にアウトガスの発生が少ないのでウェハーの搬送、保管に適しています。
ウェハーキャリアの成形に使用されています。

高純度 ABS レジン重合時に導電性高分子を加え、永久帯電防止効果を実現しました。また透明、着色いずれも可能です。保管ボックスおよびマスクケースの成形に使用されています。

ポリマー自体に制電性があり、帯電防止効果が永久的かつ安定的です。また、アウトガスの発生が少ないのでウェハーの搬送・保管に適しています。チップトレーの成形に使用されています。

従来の帯電防止剤のように帯電防止効果が徐々に減退していくことがありません。導電材に金属を使用していないのでウェハーへの汚染がありません。また、着色が可能でウェハーキャリアおよび保管ボックスの成形に使用されています。

高集積 IC シリコンウェハーキャリア対応型として開発された、帯電防止ポリプロピレンです。従来の同種の樹脂と比較して、より高純度なポリプロピレンと帯電防止剤を用い、金属含有量を極度に抑えています。
ウェハーキャリアおよび保管ボックスの成形に使用されています。

カーボン調合ポリカーボネートは導電性を備え、かつ成形品の強度を高めます。雰囲気に影響されず、アースをとれば瞬時に電荷を消散させます。また、アウトガスの発生が少ないのでウェハーの搬送・保管に適しています。
ウェハーキャリアおよびチップトレーの成形に使用されています。

各樹脂の特性一覧

項目 試験法 単位 スタットフリー -1 スタットフリー -2 ビショップ -3 帯電防止ポリプロピレン
比重 D792 / 23°C 1.28 1.1 1.29 0.9
吸水率 D570 / 23°C 0.24 - 0.29 ~ 0.3 -
成形収縮率 D955 2.5 0.5 0.5 1.9
引張り強度 D638 / 23°C Kg/cm2 490 380 1,036 340
Mpa 48 37.3 101.6 33.3
引張り伸び D638 / 23°C 320 25 12 >500
曲げ強度 D790 / 23°C Kg/cm2 683 540 1,527 -
Mpa 67 53 150 42.2
曲げ弾性率 D790 / 23°C ×103Kg/cm2 18.4 17 34.3 13.5
Mpa 1,800 - 3,364 -
アイゾット衝撃強度 D256 / 23°C ノッチ付き Kg・cm/cm 6.0 15(1/4") 3.6(1/8 ") 7.5
J /m 80.0 - 35.3 -
ロックウェル硬さ D758 - M70 - - R97
テーバー摩耗 D1044 mg 11 - - 19
荷重たわみ温度 D648(0.455Mpa) °C 150 85 - 106
D648(1.820Mpa) °C - - 200 -
線膨張係数 TMA法 ×10-5 12.7 ~13.0 - - 8.6 〜 11.2
表面固有抵抗値 D257 Ω /cm2 < 1013 1012 < 109 < 1013

上記物性値は、ASTM等に規定された条件の下で得られた代表値であり、規格値ではありません。

フッ素樹脂特性表

項目 単位 PFA 四フッ化エチレン パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂 FEA 四フッ化エチレン 六フッ化プロピレン共重合樹脂 ETFE 四フッ化エチレン エチレン共重合樹脂 ECTFE 三フッ化塩化エチレン エチレン共重合樹脂 PTFE 四フッ化エチレン樹脂 PCTFE 三フッ化塩化エチレン樹脂 PVDF フッ化ビニリデン樹脂
構造式 -
密度 g/cm3 2.12-2.17 2.15-2.17 1.73-1.74 1.68-1.69 2.13-2.20 2.10-2.20 1.75-1.78
融点 °C 310 260 270 245 327 220 151-178
最高使用温度(連続) °C 260 200 150 150 260 120 150
引張り強さ MPa 25-35 20-30 38-42 41-48 20-35 31-41 30-70
伸び 300-350 250-330 300-400 200-300 200-400 80-250 20-370
曲げ弾性率 GPa 0.54-0.64 0.55-0.67 0.90-1.20 0.66-0.69 0.53-0.58 1.25-1.79 0.60-1.99
引張り弾性率 GPa 0.31-0.35 0.32-0.36 0.70-0.85 1.55-1.70 0.40-0.60 1.03-2.10 0.37-2.58
硬度 ロックウェル[Rスケール] R50 R50 R50 R50 R20 R80 R93-116
ショアー[Dスケール] D62-66 D60-65 D67-78 D53-57 D50-55 D75-80 D64-79
比熱 103J/kg ・k 1.0 1.2 2.0 2.0 1.0 0.9 1.2
熱伝導率 W/m ・k 0.19 0.2 0.24 0.16 0.23 0.22 0.17
体積抵抗率 Ω・cm(50% RH,23°C) >1018 >1018 >1017 >1015 >1018 >1018 >1015
絶縁耐力(短時間) MV/m(3.2mm 厚) 20 22 16 20 19 22 11
比誘電率 60Hz - 2.1 2.1 2.6 2.6 2.1 2.6 8.4
誘電正接 60Hz - 0.0002 0.0002 0.0006 0.0005 0.0002 0.0012 0.049
吸水率 %(24hr) 0.01 0.01 0.03 0.01 0.01 0.01 0.03
動摩擦係数 (0.69MPa,3m/min) 0.2 0.3 0.4 0.4 0.1 0.4 0.4

注:()内は、試験条件 引用:ふっ素樹脂ハンドブック(日本弗素樹脂工業会編)